たべもののはなし

食べることばかり考えてる

手巻き寿司と働き方改革

お寿司はおめでたい食べ物だ。中でも手巻き寿司は幸福な食べ物である。

 

手巻き寿司!なんとワクワクする響きよ。いつなんどきも楽しい食べ物よ。食べ物というよりもはや、イベント。流しそうめんや芋煮のような、賑やかで参加者みんなハッピーな気分になる出来事だ。

 

手巻き寿司は毎回楽しい記憶が増えていく食べ物だ。家族と手巻き寿司をしたのも、大学時代一人暮らしの友人のお宅にお邪魔して手巻き寿司をしたのもほんとに素敵な思い出。そのたびに、わたしは今世界一ステキな人たちと世界一おいしいものを食べてて世界一幸せな気持ちだと思う。

 

こんな思い出もある。

 

私の仕事は時折ものすごくハードで、20連勤を課されたこともある。やりがいも楽しみもあり能力を活かすこともでき成長も感じられる仕事だが、いかんせん苦しいのは周りの人を大事にできず1人になっていくことが多いことだ。友人との飲み会や遊びはもちろん、デートもままならなくて申し訳ない気持ちになることも多い。

 

そのときも、しばらく連勤が続き恋人となかなか会えずでいた。そんな連勤明けのデートに恋人が用意してくれていたのは、手巻き寿司だったのである。

 

沢山頑張ったご褒美と、完走のお祝い!

 

と沢山のおいしいお米を炊いてくれて、スーパーで一緒にお刺身を選び、ご馳走してくれた。ありがたくて嬉しくてでっかい海苔巻きを頬張りながら泣いた。今も感謝している。

疲れ切っていた体にお寿司が沁みること沁みること。夕食を食べること自体久々だったところに、メガトンパンチ級の楽しい食事だった。

 

誰かを支えるということを考えると難しく、辛い時に寄り添うことばかり考えてしまう。でも、このとき恋人がそうしてくれたように、一人で戦うことを応援し、戦いの終わりに休めることを祝うというのは良いことだなと思わされた。体を休められる喜びを噛み締められるし、走り切った行為そのものにもご褒美がもらえる気持ちになった。

 

ただやっぱり、願わくば自分も他人も大事に出来てると日々思えるように働きたい。ワークだってライフだ。いずれ家族を持つことが少し不安な働き方をしていることは確か。

 

今は「働き方」という概念を再考する風潮にある。私はまだしゃかりきに働くことしかできないが、腕を磨いて良き仕事人となるべく励みつつ、プライベートこそが大事だから頑張れるということを証明しながら生きていこうとしている。

 

これからも恋人と、友人と、ひいては家族と、嬉しいご馳走の手巻き寿司を楽しく食べる日々を切に願っている。頑張ることも、同じかそれ以上に頑張ったご褒美も大事にしたい。

 

手巻き寿司は幸福な食べ物だ。

 

手巻き寿司、大好き。