たべもののはなし

食べることばかり考えてる

パエリアザウルス

パエリアという食べ物は、見るたびどこか遠い国の陽気な漁師町を想う。

 

大粒で新鮮な丸ごとムール貝、プリップリの大きな海老、弾ける赤黄緑のパプリカ、優しい白はマッシュルーム、歯切れの良い紫のイカ、そして黄金色のお米は太陽の色だ。陽気で明るい笑顔がたくさん見える気がする。人が暮らす海辺の賑やかさを食べ物にするとパエリアになりそうだ。

 

なのでパエリアというものは魚介がメインの方が好きである。鶏や挽肉ももちろん美味しいが、ここではあくまで味に深みを出す存在。魚介の風味をふんだんに使って炊き上げたパエリアを、部屋だろうが外だろうが太陽の光が差し込む場所で目一杯食べたいものだ。

 

色の持つ力というものを実感する。私は疲れるとどうしても、服は地味に、食はカンタンに、住まいへの気配りも乏しくなっていく。そんな時に綺麗な色の服を無理にでも着て、パエリアはじめ色の綺麗なものを食べ、住まいに飾る花でも買って帰ると元気が出そうな気がしてくる。あくまでも「気がする」だが、この思い込みが私にとってはものすごく大事なのだ。それに、これらの色とりどりの小さな背伸びは結局どれも健康に良い。

 

パエリアを食べ、甘やかして背伸びして美味しくて遠くに行った気分になることは最高だ。糖質と同じくらいタンパク質摂るからいい、そんな気持ちで美味しく楽しくいっぱい食べたい。これに炭酸の、これまた色の綺麗なお酒なんか飲んじゃえばもう、陽気な漁師町ごと食べる怪獣の気分にさえなってくる。楽しく食べることは、私を何にでもしてくれる。

 

パエリア、大好き。