たべもののはなし

食べることばかり考えてる

フォアグラ、麗しのブダペスト

旅の思い出の話をしよう。今回は長文だ。

 

大学を卒業する折、ツアーの一環で中欧ハンガリー、首都ブダペストに訪れた。なぜ縁もゆかりもなくなかなかどうして贅沢なお値段の中欧かというと、その時一緒に行ってくれた友人が類稀なくじ運を遺憾なく発揮し旅行券を引き当ててくれたからである。本当に彼女のくじ運には今も感謝している。

 

さて、旅先。「ドナウの真珠」とも呼ばれる街は本当に美しく、雲ひとつない空の下で観る漁夫の砦やマーチャーシュ教会、聖イシュトヴァーン大聖堂などは最高に素晴らしかった。

 

ブダペストの名物はフォアグラとトカイワインという甘い甘い貴腐ワイン。お土産を買うなどして楽しんでいたが是非名物はその地のレストランでもいただきたい派なので店を探した。

 

そこで見つけた、コムシェソワというお店。林檎とフォアグラのソテーが絶品で他のメニューもとても美味しいという。ぜひいってみたいね、と同行者と話しメールしたところ、ランチタイムはいっぱいだと言われてしまった。それならば予約はないが、万が一空いているチャンスを期待してコアタイムを外してお邪魔してみることにした。

 

14:30ごろであっただろうか、訪れた店は意外にもこじんまりとして街の良き料理屋さんという雰囲気であった。ドアを開け、入れるかどうか聞くと奇跡的に2席だけ空いているという。是非もないチャンス、ありがたく席に着いた。

 

名物と聞き及んでいた林檎とフォアグラのソテー、それにスープも頼みとても楽しみにしていた。すると、頼んでいない前菜が出て来たではないか。

 

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聞いてみると、サービスだという。なんとも嬉しいことだ、それらも絶品であった。

 

さてついに来たフォアグラのソテー。今も衝撃を忘れられないのだが、フライパンごと供され、中には手のひらくらいもあるフォアグラがよっつ。まるごと、4!フォアグラの数字じゃない。香ばしくソテーされた薄くたっぷりの林檎とアッツアツのソースで絡められ、ものすごく良い香りがしてくる。ナイフを入れると力をなにも加えていないのに皮目がスッと切れ、中のプリッとした感触が指に伝わる。

 

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一口含んで、そのレストラン、ひいてはフォアグラが名物のハンガリーという国に感謝した。美味しい。美味しすぎる。こんなに美味しい料理があるのか!林檎の酸味がまた合うのだ…甘辛いソース、ジューシーで臭みのないフワフワのフォアグラ、少し歯触りの残る林檎。あまりにも美味しかった体験を忘れられない。

 

スープもものすごく美味しかったね、と話しているとレモン風味のシャーベットをサービスしてくれる。これがまた、美味しいのだ。フォアグラのこってり感の思い出を打ち消さず、口に爽やかさをもたらしてくれる。さらにお土産にダークチョコレートをいただき、店を後にした。

 

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とはいえ、量が多くボリューミーなご馳走を食べたので同行者といっしょにドナウ河沿いをひたすら歩いた。ブダペストは照明が何故かほぼ全てオレンジなのだが本当に美しく、夕日が落ちて空が青から紫、そして群青に移ろう中をキャーキャー言いながら歩いたのは最高の思い出だ。

  

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河沿いにある国会議事堂でWiFiをつなげてメールを見ると、昨晩のうちにレストランからメールが来ていた。

「もし宜しければ、15時ごろであればお席があります。そちらでしたらいかがですか?」

という旨の連絡。先方のあたたかい気遣いが嬉しく、先程訪れさせていただいた感謝を返信した。嬉しくてたくさん歩いた。

 

 

こちらは折り返して対岸から撮った現地の国会議事堂である。

 

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ブダペストは建物が美しく、光が柔らかく、人が優しくて食べ物が美味しい、とりわけフォアグラは最高の町だった。

 

フォアグラ、ブダペスト、大好き。