ゴマはまぐれ勝ちの記念
私はオセロが弱い。
気がついたのは飛行機内のゲームだ。睡眠にも映画にもテトリスにも飽きて、しかし数独も囲碁も将棋もわからないので数年ぶりのオセロに手を伸ばした。
全く勝てない。それも尋常じゃなく弱い。オセロは全部で64個マスがあるが、58-6とか、52-12とか、すごかったときは60-4で負けた。置くそばから取られていくどころか、意図せず相手の意図通りに置く。これはショックだった。
その夜同行してた友人にも一戦ご一緒願ったが、やはりその感じで負けた。コンピュータが強いわけではなかった。私が!弱い!!のだ!!!
なので最近はデートのたびにオセロをやっていた。恋人はむしろオセロは強い方なので、やはりめちゃめちゃに負ける。見かねたのか、「最初は真ん中付近から、そのあたりを取りきったら端っこを狙っていくのだよ」と勝つコツを習ったが、習う前より取れずに負けた。
よほど私がしょぼくれていたのだろう、「いつか君がオセロに勝った日は記念日にしよう」と言わせてしまった。私は食いしん坊なので良いことがあると食べ物にすぐ結びつける。白黒といえばごまだ。もしそんな日が来たらごまを食べる日にしよう、そう決めた。なお喧嘩の際はオセロで決めようという提言は、申し訳ないが却下である。
ゴマは前はあまり好きではなかったが、料理するようになり胡麻油に惚れ込んでからというもの、ゴマそのものも好きだ。すりごまをトッピングするよりかは、いりごまをご飯にかけたり、味噌汁や野菜炒めに豪勢に混ぜたりするのが好きである。プチとした食感を噛むと途端にゴマの香りがして大変美味しい。
さてそんな恋人と、ある日結婚を決めた。その日は恋人のおかげでたいそう素敵な日になり、ひとしきり喜んではしゃいだ。そのあとなんとなくオセロをしたら、
なんと、勝ってしまったのである。
まさかのプロポーズ記念日に勝ってしまったので、まさかのまさかのこれからその日は、ゴマを食べる日になってしまった。どちらもめちゃめちゃ嬉しいはずなのに、なんだか、ゴマとは、、
ロマンチックよりも健康感が勝る。
まぁ、末長く一緒に健康でいましょう、そして私は過去のこの日確実に君に勝利したことを覚えていてネ、のダブルミーニングは割と面白おかしいので良しとしようか。
ゴマ!つくづく私は持ってんのか持ってないのかわからない。
来年のその日にゴマを食べ、今年の夏の話をしたい。しかし真に健康を留意すべく胡麻油とかゴマとかほぼ日常的に食べていたい。そんなことを考えているとつい笑ってしまう。
ちなみにそこからは負け続けている。正直まぐれ勝ちだったのであろう。ゴマを食べ、健康を保ち、再び勝つまで一緒にオセロをし続けたい。
ゴマ、大好き。