たべもののはなし

食べることばかり考えてる

肉まんに酢醤油って美味しいと思うんだけどな

この季節になると恋しくて仕方なくなるものの1つがホッカホカの肉まんだ。何であれあんな美味しいんだろうな、、フワッフワでまっしろの生地に包まれたとろみのある肉餡。誰が考えたんだろうもう天才でしょ、、冬は素敵な季節だ。美味しいものが急激に増える。

 

原体験がスーパーに売ってる4つ入り198円とかのやつを蒸してもらったやつでそれも十二分においしいと思っているが、初めて高級肉まんを食べた時の驚きは今も覚えている。

多分父が中華料理のお店で買ってきてくれたやつだったんだけど、まず衝撃的に大きかった。肉まんかこれ!?こんな大きいのあるの!?と爆上がりするテンション。下にくっついてる紙もいつもの白いのじゃなくて竹の葉っぱみたいな柄をしていた。そして立ち上る、つるんと白い生地の甘い甘い香り。

 

豪勢に真ん中から割ると、まぁ、なんと…丁寧に調理されたお肉と野菜がたっぷり。ウズラの卵まで入っていて、宝石箱みたいだった。一口食べるとなんともさまざまの旨味が絡まりあって複雑な味わい。全く別の料理と言われても納得するくらい、本格的な中華だった。

 

しかし悲しい哉、プリセットが4つ入り198円の肉まんの舌、やがてその中華まんに対してこんな感情を抱くことになる

 

「あっ、濃いわ…」

 

嗚呼、花の貧乏舌!!高級肉まんの名誉の為に申し上げるが味付けがダメだったわけではない。むしろ「なにこれ!」となるほど美味し過ぎて肉まんに対するデータ受容装置がバグった。高級品は情報量でバグる!!

 

なにもかも美味しく食べるのは美味しさを感じる閾値が低いからだ!とファンキーな上司に言われたことがあるが、たしかにそうなのかもしれない。

 

して、私は妙案を思いつく。その頃見ていたコマーシャルに、やずやの香醋があった。中国では香醋を食べます…みたいな映像で、時にそれはおかゆだったりしたが中には中華まんと思しきものもあったと思い出したのだ。そしてその食べ物の正体は知らないがやたらと美味しそうに見えたのも思い出した。私の頭はこんなことばかり思い出す。

 

しかし平々凡々な一般家庭において構図はそう存在するものではなかったため、中華だしと思いながら普段は餃子につける酢醤油をこしらえ、つけてみた。

 

美味しかった………ジューシーで大粒の具と、ふわふわで独特の風味を持つ生地に酸味と和の香りが染みて、あぁ、何もかもが調和してただただ幸福感だけが募り行く。しつこさの要因ともなりうる肉の脂さえ極上だった。衝撃、バグ、それを乗り越えて更に至った衝撃。境地を見た。美味しい…。

 

それ以来、良さげな肉まんに巡り合ったら傍に酢醤油をセットしてワクワクするのが常なのだがどうにも世間的にはそのならわしは極めて少ない事例らしい。「いや餃子かよ」というツッコミをもらうこともしばしばだが、しかし本当に美味しいのだから良いではないか、、と思うわけだ。

 

思えば自分の文化に存在しないからという理由のみで遠ざけていた食のなんと多いことか。トマトに砂糖とかまさにそうだったんだけど、絶対やばいと思い続けてふととある夏の日に思いついて自分を傷つけるような気さえしながら好奇心任せに試してみたらまぁ、もう、めっっっっちゃくちゃ美味しくてびっくりしたことがある。

こんな風に勇気を出して美味しい世界が広がるのは幸いなことだし、もし私にとってはまずかったとしても、それは自分にとって未知だった好きではないジャンルに気づけただけのこと。いずれにせよ得るものはあるのだ!ならば挑む方が良い。

 

そんなわけで、お読みくださってる方の中には肉まんに酢醤油なんてと思われる方も少なくなかろうが、ぜひ一度お試しいただきたい。特に情報量でバグるほどの高級肉まんには最強の調味料である。

 

肉まんと酢醤油、大好き。