赤福の水面
まずは更新が滞っていた理由を言い訳する。
このブログは大体通勤電車で書いているのだが、最近図書館で借りた本があんまり面白くて読み直していたら「はよ返せ」と言われてしまったため急いで電車でも読み返していた。
『イカの心を探る』と言う本だ。これ読むとイカをめっちゃ好きになり自己の存在を考える。オススメ。
イカの心を探る 知の世界に生きる海の霊長類 (NHKブックス)
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あらゆる事物を語る文章において思うことだが、その対象をとことん好きな人が書くと本当に面白い。
日々ときめきをくれる食べ物たちを想うこのブログもかくあってほしいと願う。
さて本日は赤福についてである。
赤福、言わずと知れた伊勢の姫君。物心ついて初めてあなたにお会いした日から私はあなたに恋をしている。
あんころ餅の理想形ではないか、赤福。甘くなめらかなこしあんにたっぷりと包まれた真っ白なお餅は固すぎず柔らかすぎずちょうどいい。大きさも程よく贅沢で、きちんとお皿を用意したくなる。箱にギッチリ詰まってる様子も、お行儀がよくて超可愛い。あったかいお茶と一緒に食べると、なんとも満足感と多幸感。
赤福といえばセットで付いてくる木べらも大好きなのだ。あの木べらは本当に良い。金属ほど鋭くなく、プラスチックより色気がある。適度にくっつかず、私たちの元へ赤福を届けてくれる。
赤福を1つ取ろうとするとき、その形から、さながら赤福の海にて小舟を漕ぐような気持ちになるのだ。こしあんの波間に艪を入れ、柔らかくて少し冷たい水の抵抗を受けるくらいの力を込める。実はこれはやはりそのように作られているらしく、公式HPには次のようにある。
「形は伊勢神宮神域を流れる五十鈴川のせせらぎをかたどり、餡につけた三筋の形は清流、白いお餅は川底の小石を表しています。」
伊勢の地は訪れたことがない。思い描く川の風景と五十鈴川の姿は一体どれほどの差があろうか。眼に映る景色は異なれど、赤福を美味しいと思う気持ちはその地を訪れた日の私ともきっと近しいものだろう、しかし姫君の生まれた地の景色を知ってから食べる味わいは一体どれほどのものだろうか。
和歌のような気持ちになってしまった。伊勢に行ってみたい。
赤福、大好き。