たべもののはなし

食べることばかり考えてる

苺スウィートメモリー

苺って好きだ。もうあれは「可愛くて甘い」の記号でもある。友人が「ヤシの木が陽気さと温暖な気候の記号」という蓋し名言を残しているが、それと似た気持ちで見ている。

 

事実可愛いしとっても象徴的である。苺そのもの、食べ物としては勿論、味も香りも色使いも姿形も全く別のフィールド(クッキーとか)で成立することさえある。赤もしくはピンクのお菓子を見たら苺を想起する。苺というアイデンティティ、概念、まこと様々な形で私たちを楽しませてくれる。

 

不思議なことなのだけど、相手が誰であれ「苺が好き」と告白されるとものすごい"ギャップ萌え"を感じてキュンキュンしてしまう。もちろん「苺が好きとは到底想像できない」な人ばかりではない。いかにも苺が好きそうだなぁという人に対してもそう思う。これは昔からで、私の七不思議のひとつである。

 

おそらく私にとって苺という果物はめちゃくちゃ可愛いものなんだと思う。というか、自分が苺に対して抱いている可愛いなぁと思う気持ちの度合いが多分予想と実感を遥かに超えている。この驚きの正体は、誰が愛そうとあまりの可愛さに「えっそんなに可愛いものを好きなの!」という嬉しいものである気がする。

 

食べ物としての苺に関してはそんな気持ち。では、作物としての苺に対してはどうかというと、実にワイルドだと思っている。

 

私の父の故郷は苺農家が多くあり、苺狩りで有名な場所だ。幼きある日、私は苺狩りをさせてもらえることになりビニールハウスの中に入った。

 

あったかくて、湿り気を帯びた葉っぱがグワングワンと元気に伸びていて、土の香りがした。その環境において苺は「フルーツ♡」というよりも「実」とか「成果物」という感じで、実にイキイキと生えていた。というより、鎮座していた。うおーと思いながらたくさん摘んだ。というより、狩った。

 

ビニールハウスを出ると畑なのだが、ビニールハウスに入る前より気温が上がったからかなんとそこにはアマガエルが沢山いたのだ!苺とは真逆の、緑で元気に跳ねるいきものたち!夢中で捕まえようと奮闘し、ゲラゲラ笑いながら可愛い小さいカエルたちに翻弄されまくった(今はもう無理)。いい思い出だ。

 

姿形は異なれど、もしかしてあのカエルたちのイメージがハウス内の苺に重なっているのかと思っていた。しかし全く話は変わるが、職場になぜかペットボトルで苺を水耕栽培している人がいる。「ベリ夫(?)」と名付けられたその子は、あの日見たハウスの苺と同じように窓際で日差しを浴びてグワングワンと葉を伸ばし、ついには実をつけた!実に逞しい、実が赤くなるのが楽しみである。イキイキしてるものを見ると大変元気になる。よいことだ。

 

苺、大好き。