たべもののはなし

食べることばかり考えてる

ホタルイカは栄養たっぷり

栄養という言葉が兎にも角にも好きだが、その存在は目に見えず、きっとあるはずだと信じるだけになっていることの方が多い。

 

しかし、その存在をハッキリと認識して以来大好きになった食べ物がホタルイカだ。

 

いつものようにスーパーを徘徊していると、やけにホタルイカが目に付いた。今まで意識すらしてなかった、紫の小さきイカたち。理由はわからなかったが本当に美味しそうに見えたので買ってみた。

 

なぜか酢味噌で食べるものだと思っていたのでまずは酢味噌でひとつ。あんまり美味しくてびっくりした。これ、こんな、こんなに美味しいものを私は知らなかったのか?無言で驚きながらパクパク食べた。

 

酢味噌に美味しいが醤油もこれ美味しいでしょ絶対と思いながら醤油で食べてもみたが、まぁこれもなんと…うおお、と驚きながら交互に食べ、結局はたくさんいるように思えたイカたちをペロリと平らげてしまった。

 

翌日、なぜかものすごく体調がいい。普段、じっとりとした疲れを服の上から一枚着てるような感覚がわりかしあるのだが、その日は今も思い出せるくらいそれがなかった。なんでだ?と思って母にそのことを伝えると、

 

「だってあんた昨日狂ったようにイカ食べてたじゃん、あれタウリンめっちゃ入ってるからね、体に足りてなかったんだよ」

 

と返ってきた。

タウリンケインコスギさんのCMで聞くような言葉なのできっと疲労回復の効果があるに違いないと思ったらやっぱりそうだった。なんと、疲れていた私の体はスーパーでホタルイカに心を止めさせ、食べさせ、回復した。そのことにただただ驚いた。

 

子供の偏食は、無理に治さなくてもある日突然その食べ物を美味しく感じて治ることがあるという。足りない栄養素を体が訴えてきて、それゆえに美味しく感じるのだそうだ。

 

それにしても体、すごい。意志とは離れたところできちんと調子というものが存在し、時折意志とは関係ないところでそれらの調整を求める。全てを自分で決めているような気がしているが、その自分というものに違いない私の「体」というものに、一体意志の外でどれほど守られているのだろうか。

 

ホタルイカの向こうに人体の不思議を見た。

 

ホタルイカ、大好き。