たべもののはなし

食べることばかり考えてる

かっぱ巻きイマジネーション

人類を人類たらしめるのは想像力に他ならないとか聞いたり聞かなかったり言われたり言われなかったりするけど、いくらなんでも想像の産物をそのままネーミングに持ってくるのはすごすぎると思う

 

かっぱ巻き。海苔、酢飯、きゅうりの芸術。サッパリ爽やかで、海苔ときゅうりの風味が抜群で、歯ざわりが楽しくて、いくらでも食べたい。お魚を美味しく食べる術として発展していったであろうお寿司の、変わり種と言ってもいいが定番。大好物である。

 

で、名前がきゅうり巻きじゃなくてかっぱ巻きなんだよな

河童の存在はおそらく大概の人は義務教育以前に知ると思う。川にいて、ヌメッとしてて、緑色で、頭に水をたたえたお皿があって、それが乾くとダメで、甲羅があって、尻子玉を抜いちゃったりする奴もいて、きゅうりが好き、みたいな河童像。

 

姿形はまだわかるとして、キュウリが好きというキャラクターメイキングはなかなかどうしてセンスがある。多分他にないもんね、オリジナルだねと思う。キュウリ何で好きなんだろうというのには諸説あるらしいが、キュウリが好きという認識はどの河童にも共通する。

 

それで、河童がキュウリ好きだから、かっぱ巻きなんだろうけど、すごい。というかもうキュウリっつったらかっぱでしょみたいな、河童がキュウリ嫌いなわけないみたいな気概すら感じる。好物だからって名前にするのすごい。実在するとは限らないのに…空想の産物の、更に好物を、すごい…。

 

多分他にもそういう、空想の産物の好物にちなむ食べ物あるんだろうけどあんまり思いつかない。そしてそれらの定着っぷりをあまり想像できない。例えばローストビーフのヨークシャープディング添えを巻いたら「跡部巻き」になるのかもしれないけれど、老若男女古今東西で呼称されるかと言われるとわからない。

 

河童はすごい。みんなわかるしみんな知ってる。そして夢のあるネーミングセンスだと思う。河童はトロよりウニよりキュウリなのだろうか。好物がはっきりしているとプレゼントを選びやすくて良い。かっぱ巻きは美味しくて大好きで目一杯食べたいけどついつい他の具に目移りする、いつか河童と寿司屋に行ったらかっぱ巻きを無限に食べよう、その時まで取っておこう。

 

かっぱ巻き、大好き。