たべもののはなし

食べることばかり考えてる

ワッフルに救われた生みの苦しみ

ワッフルに折れそうな心を救われたことがある。

 

そもそもワッフルは大好きで、表面にカリカリに焦がしたお砂糖が絡み、噛むと柔らかさの前に少しポクッとした歯ごたえ、そこからジューシーな甘さとバターがふんだんのケーキ生地の食感が口いっぱいに広がる。いろんな種類があるがプレーンが一番好きだ。牛乳も紅茶も飲みたくなって、あっという間に食べきってしまう。

 

さてそんなワッフル、こうは書きつつも片手で数えるほどしか食べたことはなかった。父の帰省の時に一度、途中の大きい駅で売ってて前を通るたび良い香りがしていたのを食べさせてもらった時の記憶と満足感があまりにも強かったのだろう。

 

折れそうな心を救ってくれたワッフルというのは、地下鉄駅のコンビニで売っているマネケンのベルギーワッフルである。

 

大学生だった当時、あまりにも何もかもうまくいかない時があった。ものを作る勉強をしていたが、やりたい表現に技術が追いつかず、共同作業者に迷惑をかけ、教授に叱られ、締切は迫り、大学は家から遠く、その頃は真冬で骨身に染みるほど寒く、寝られず、、

 

ご飯を食べること、もっと言えば空腹さえも忘れて、ボンヤリと帰っていた深夜だった。喉が渇いて立ち寄ったコンビニにあった、ベルギーワッフル。

 

マネケンのベルギーワッフルは一つ一つ包装されているが、パックの中身が見えない。つまり、ロゴと写真といくつかの説明書きだけの白い袋である。

 

それなのに、ワッフルに対する憧憬がザワザワと蘇ってきて、、味、香り、歯ざわり、全部が思い起こされて、そのことにあまりにも心が騒いで泣きそうになった。写真と商品名でこんなにも何かを思い起こすものか、そんなものを作れる人がいるしその人はきっと一生懸命これを作っただろう。ならば、どんな形であれ熱量を持って何かを作れば誰かに何か届くのではないか、そんなことを感じた。

 

実に大げさである。

 

で、買った。心が動き、食欲が蘇った。

 

美味しかった、、品がないが駅のコンビニのそばで立ったまま食べたワッフルは本当に美味しかった。おなかが空いていたのに、悩みすぎて忘れていた私をバターの香りが包んだ。

 

以来、食べることはより一層好きになった。エネルギーを得ることが動くことにつながるし、楽しいし、美味しい。食材も料理もたいそうクリエイティブな行為で、誰かを幸せにして生かすことだと思う。そんなハッピーな存在を日々取り入れながら生きられることが、私は本当に嬉しい。今日もたくさん食べようと思う。

 

ワッフル、大好き。

 

「わ」まで書ききった!続けられた、万歳!