たべもののはなし

食べることばかり考えてる

ラザニアの冬恋し

ラザニアとかいう料理は大変美味しい。

挽肉とトマトを煮詰めたソース、ホワイトソース、板状のパスタ、たっぷりのチーズと基本はこんな具合であり、こんがりとしたトップにジューシーなソース、プルプルぺたぺたのパスタがなんとも美味しい。

 

しかもこの料理全く天才的で、どんなもので作っても美味しいのでつい色々と混ぜ込んだソースを作ってしまいたくなる。例えばナスやらエビやら、ズッキーニやらピーマンやら、キャベツだって美味しいだろう、アンチョビはどうだ、オリーブだっていい、ゆで卵も入れてみよう、レンコンだって良さそうだ。

 

もうなんか具として成立しそうなものはなんだって刻んで混ぜ込んでラザニアにしちゃえば美味しかろう。グラタンやパスタやキッシュなどもこういった使い方はできるだろうが、しかしどうにもラザニアが勝る。

 

というのは、ラザニアというのはあくまで主軸にパスタが存在し、側近のトマトとホワイトソースによって内容物の姿形をあまり認識しないままに旨味ばかりを味わえるが、上に挙げたものらにとって具は主役でしかないのだ。そのため全く存在を意識せぬままに味わってうまい!という現象は起こりづらい。まず目で味わうステップがラザニアのそれより深めに存在する気がする。

 

どっしりとした基盤があれば多少の変わり種や新しい要素が入ってもビクともせず美味いのだ。

 

ラザニアは買うに旨し、作るに旨し、あまり大きな失敗はない料理な気がする。パスタ茹でるのが少々コツがいるくらいか。でも要されるのは腕じゃなくコツだ、なんてことはない。

 

またどんなビジュアルでも美味しい。耐熱皿にドカンと詰められたものも、アルミ型で成形されたものも、店頭に並ぶ巨大なものも、高級レストランのような小さいポーションも、オーブンの中でも、食卓の真ん中でも、スプーンの上でも、どのラザニアを思い浮かべてもだいたい美味しそうだし美味しい。

 

この夏は暑すぎて、ラザニアをハフハフ言いながら食べたいと思う気持ちを抱く寒さがほんとうに恋しい。冬に食べる料理のハイカロリーでアツアツな美味しさ、君を愛している。夏の野菜を目一杯味わう料理も大好きだが、冬の食欲には勝てぬ。元気に夏を乗り切って涼しさを感じたらすぐに冬の味覚を探し求め始めたい。

 

ラザニア、大好き