たべもののはなし

食べることばかり考えてる

クレープへの恋はいびつ

ほんとうは、頬張りたいのだ。

 

クレープ、フルーツとチョコソースと生クリームを一番ダイレクトに味わえる志向の逸品だと思っている。クレープという料理、というよりかは、それらの構成要素を効率よく味わう手段にさらに薄皮のモチモチ感が加わって爆発的に美味しくなるという感じだ。食べるごと幸せが募り、少し包み紙の香りがする食べ終わりは何にも増して切ない。

 

街にあるクレープ屋さんの前を通ると美味しい香りが漂ってきて一瞬で幸せになる。また、一度しかやったことがないがクレープパーティー、あれはもう特別感と謎の緊張感があった。ずーーっっっと美味しい、甘くて幸せ、中身は自在、どれも最高、本当に本当に…いやあれはすごい。クレープ本当に美味しい。街中のクレープ屋さんの前を通るたび心が動く。

 

ただ、

 

ただ、

 

本当に遺憾なのだが、、恥ずかしいのだ。クレープを思いっきり頬張って楽しみたいのに、羞恥心が邪魔をする。

 

口を開けることが恥ずかしくなったのはいつからだ。人前で食べることが恥ずかしくなったのはいつからだ。立って食べたり地べたで座って食べたりするのが恥ずかしくなったのは、いつからだ。

 

1人クレープは1人回転寿司より恥ずかしくなってしまいそうでチャレンジできていない。

 

小さい頃読んだ少女漫画に、男の子が「1人では頼みづらいから…」とデートでパフェを頼んで、それがキラキラな一瞬として描かれるみたいなのがあって、

「もの食べるのに恥ずかしいって何?」

と思っていたが、なるほど、わかる、わかるよ、恥ずかしいって確かにあるのだ…

 

誰もそんなこと言ってないのに、自分で恥ずかしいって決めちゃってんだなと思う。子供の頃より生きやすくなった一方、その点においては幾分生きづらくもなったものだ。

 

なので、密かに想い続けている。ほんとうは、頬張りたいのだ。片思いの相手を恥ずかしいと思うのは失礼だと承知しつつ、晴れた日に歩きながら頬張る甘くて美味しいクレープをとってもとっても好きでいる。バカップルでは行き過ぎるめて仲の良い老夫婦のように、側から見ても微笑ましいくらい穏やかに思い合えたら、いいのに。

 

クレープ、大好き。