たべもののはなし

食べることばかり考えてる

参鶏湯にラッキー

「思いがけずうまい」がハマるきっかけだったこと、ないだろうか。

私にとっては参鶏湯がそれである。

 

もうかなり前だが、母と韓国に行ったときのこと。今となっては信じられないが、事前に化粧品のことしか調べずに来たため美味しいお店や食べ物を一切知らなかった。キムチ、ビビンバ、サムギョプサルと海苔くらいしか韓国料理に対する知識はない。食に対する情熱も今ほどなかったのであろう。

 

なので初日はなんとなくホテルのすぐ近くのお店に入った。名物は参鶏湯。読めない!聞いたら、「サムゲタン」と呼ばれる食べ物だった。サムゲタン

 

しかし母は太鼓判。これ絶対あんた好きだよ、だって鶏肉にもち米入っててスープだもん。これ美味しいって絶対。とのことである。俄然興味が湧いて、参鶏湯を注文してみた。

 

すると、てっきり参鶏湯だけが出てくるかと思いきや小皿で野菜料理が次々にたくさん出てくる。キムチっぽいの、ナムルっぽいの、漬物っぽいの、サラダっぽいの…これは本当に嬉しかった!野菜が好きな上どれも初めましてながら好きな味。美味しいのだ。

 

そして、参鶏湯…でっか  丸鶏どかん!めっちゃデカいお皿  えっ  お皿めっちゃデカいわ

反射的にそう思ったくらい大きく立派な丼?に入って運ばれて来た参鶏湯。しかし…なんと、良い香りだろう。母と顔を見合わせニヤリとしてしまった。

 

丸ごとの鶏肉はよく煮込まれていながらたいそう柔らかく、金属のお箸で切って食べていける。部位を問わずしっとりとし、味が優しくしみていてすごく美味しい。食べ進めて行くともち米にたどり着き、これがまた…美味い…スープと鶏肉に密度の高いモチモチのお米がなんとも美味しい。さらに食べ進めて行くとナツメや栗、なんと小ぶりの朝鮮人参も入っていた。朝鮮人参!興奮した。栄養ドリンクでさえエキスしか入ってないのに、漢方薬まるごとやん!味もなんだか健康っぽい〜〜美味しい…

 

あんなにデカいと思ったお皿も気づけばカラで、お腹があったかく満たされ、私は参鶏湯が大好きになっていた。全然知らなかったしお店も本当期待しておらず(すみません)、思いがけずうまかったのでハマった。二泊三日の旅で二、三回食べたはずだしそのお店もまた行った。

 

東京で参鶏湯というと、丸鶏どかん!みたいなのをあまり見ない気がするし、なぜだかわからないがおそらく丸鶏どかん!を食べられない気もする。食欲って場所によって変わるのだろうか。

 

ただでさえ世の中美味しいもので満ちているのに、さらにまだまだ思いがけずうまい!がたくさんある。なんという幸せな世界に生まれたんだろう。参鶏湯はもうすっかり好きなものだが、いまも見かけるたびそんな気持ちになる。

 

参鶏湯、大好き。