たべもののはなし

食べることばかり考えてる

火鍋越しの友人、地獄の夜にて愛

仕事が大変で長らく会えずにいた友人との再会の場は火鍋店だった。火鍋は食べたことがなかったけれど過ぎ去った今年の冬はやけに寒く、鍋ならあったかい上にスパイスで健康にだっていいだろう、辛さはまぁいいかと選んだのだった。

 

特徴のある食べ物を共にすると、まずはそれを口走って笑顔になれるので私は好きだ。その日も「赤っ!」「なんだこの丸いの」「いい匂い」「辛そう〜」など見れば誰もが言いそうなことをまず発してはワイワイ笑った。

 

会わずにいた二、三年の間に私たちは社会というものの中で生きるようになっていて、色んな苦労も楽しみも短い間ながら浴びるように受け止めてすっかり大人同士で会った…

という気持ちもあるにはあるが、正直なところ「おもしろフラッシュ倉庫」という単語だけで腹筋がちぎれるくらい笑い続けていたので魂のステージが近いことを久し振りに確認しあった感じになり、それはそれですごく良かった。

その間火鍋はずっと野菜をくつくつあったかく煮てよい香りを放ち続け、口さみしいと思うことなしに話し込んでいられた。ずっと私たちの味方をしてくれてるような気がした。深夜に店を出て、魑魅魍魎が跋扈する新宿の街を見た友人が「地獄だなぁ」と呟いたことも含めて本当に良い夜だった。

 

その後別の友人とも火鍋に行ったが、どの時間もまことによかった。派手でワイワイやるのに最高な料理だと思う。

火鍋の鍋の大きさ、金属の感じ、陰陽を感じさせる形状など見た目がまずすごく好きで、いかにもアジアの辛いものを食べるぞといった気概になる。

ピリ辛の赤いつゆも滋味に溢れる白いつゆもどちらも本当に美味しく、ちょっぴり味が濃いが野菜や肉を美味しく食べるにはちょうどいい。

またその野菜も、行った店ではたっぷり供されて種類もさまざま。普段こんなに野菜食べないなぁと思いながら完食すると翌朝の体調がめちゃくちゃ良い。健康になった気がする。

 

なにより、火鍋とセットで思い出す景色は立ち上る湯気の向こうに見える大好きな笑顔である。そのことが本当に愛しくて胸が詰まる。楽しい夜の余韻が心だけじゃなく服にも残る(すごく、、香りが、、、)のはまぁ、こういうのを玉に瑕と言うのだろう。

 

火鍋、大好き。