たべもののはなし

食べることばかり考えてる

トウモロコシ茶の香りは夏

あんなにも暑かった夏を忘れてしまいそうになるくらい今日は肌寒い。平年に比べて暖かい日が続いたものの、きっと寒さは急に来るだろうと思っていたところに来た。体が寒さに馴染むかどうかよりも、お肌が乾燥に耐えられるかどうかが心配になったことで自分がもうとっくに子供じゃないことを思い知る。

 

日々会社でいろんなお茶を飲んでいるが(以前も書いたがデスクに茶葉を取り入れすぎて千利休とあだ名されたこともあった)、つい最近までミントティーやエルダーフラワーレモンなど爽やかさを求めるお茶ばかり飲んでいたのもあり、寒い時には似つかわしくないラインナップだなぁと思っている。

 

そんな私がいまデスクに迎えたいと思っている最有力候補、それがトウモロコシ茶である。

 

とある飲み屋さんでご飯を食べ、あとはお会計となったタイミングで出してもらったのが最初の出会いである。その時は驚いた。お茶なのにトウモロコシのにおいがするのだ!うだるような暑さの中、祖母が茹でてくれたトウモロコシ。記憶の中の夏を想わずにはいられない香りだ。

 

一口飲むと、とてもびっくりしたのち安心した。香ばしく甘い香りにすっぽりと包まれたような気持ち。甘いといってもお菓子のような甘さではなく、日差しを浴びてふんだんに糖分を含んだ植物の香り。その香りを太陽と火の力で目一杯引き出して熱いお湯で煮出す。おいしい。ほんのりとした味わいは心から落ち着く。そのまんまいくらでも座り続けていたくなるような味わいだった。

 

そしてその晩はよく眠れた。後で知ったがノンカフェインなのだそうだ。この香りにふんわりと包まれてから眠れたらどんなに贅沢な気持ちだろうか。ワクワクしてしまった。

 

私は寒いとき温かな甘さに癒される性分らしく、小さい頃から甘いココアに数えきれないほど冬の癒しをもらってきた。しかし何度も冬を越し、夏を越し、あまり甘いものを飲まなくなった。去年からその気配はあったが、今年は今までのようにココアにメロメロではなさそうだ。

 

しかし甘さは感じたい。そこに巡り会えたのがトウモロコシ茶だった。人生は良く出来ている。今年は甘くて香ばしい夏の香りに癒される冬にしよう。ぐっすり眠る、元気な冬にしよう。

 

トウモロコシ茶、大好き。