たべもののはなし

食べることばかり考えてる

佃煮は凝縮した食欲

ぜひ一度やってみたいと思っているイベントがある。

それは、日差しも落ち着き食欲が爆増する秋頃に、新米をバーン!と炊いて、各々でご飯に合うものを持ち込んで白米とのハーモニーを奏でまくる会だ。

 

この国には白米をより一層美味しく食べさせられる能力を持つ食べ物の多いことよ。ほんとうに幸せなことだ。佃煮もその中の一員である。

 

まずもって、

【酒・砂糖・みりん・醤油】

この組み合わせ考えた人本当誰ですか…

大抵の食材はこの組み合わせで煮るなり焼くなりして凄まじく美味しくいただける。甘辛いと言うのが一番近いが、和風の味付けの中でも相当美味しい部類。この最強の四天王を前に抗える食欲なんてない。さようならダイエットこんにちは糖質。

 

そして佃煮はその美味しさを、さらに食材にギュッと凝縮して込めたものである。一口でもからい位の味、言い換えればほんの少量でも十分すぎるほどに和風調味料の美味しさ、さらには食材の風味や食感を堪能できる。旨みのサプリメントであると言っても過言ではない。いやもはや錠剤。医薬品。西洋医学

 

しかし佃煮はその主張の大きさをもってして主役ではない。他の食材、例えば白米や酒などを進ませる役割を主に担う。

 

昆布や小さなしいたけの佃煮は特に好きだが、佃煮は大抵おいしい。保存もきく。保存用に最初は作られたんだろうけどどう考えても白米促進装置である。色がまたいい。黒く煮詰められた佃煮は宝石のようにツヤツヤと輝き、佃煮を乗せられたご飯は琥珀色に染まる。

 

あぁ、卵黄だけを乗せた卵かけご飯に昆布の佃煮をドサと乗せて食べたい。仕事の手を休めてはそんなポップな思考をしている。

 

一度試していただきたいのだが、普段はそれぞれおにぎりの具として独立している梅干し、おかか、昆布の佃煮を一緒くたにして握った「三位一体おにぎり」である。さすがに混ざりすぎて美味しくないと思われよう。しかし、梅干しの酸味と甘み、おかかの香りとダシ感、昆布の佃煮の風味、これが合わさると無敵だ。三位一体、文殊の知恵、三つ巴、まぁ色んな言い方はあるが、とにもかくにも贅沢な逸品だ。すこぶるおいしい。

 

佃煮、大好き。