たべもののはなし

食べることばかり考えてる

昆布ダシジェネレーション

大人になって良かったなぁといろんな時に思うが、そのうち1つがダシのしみじみとした味わいを心から美味しいと思えるときだ。

 

昔はおだしよりもコーンフレークにかけてお砂糖が溶けた甘い牛乳の方がよっぽど好きだった。しょっぱいか、あんまり味がしないかなのになんで大人はダシを美味しいというのだろう?とさえ思っていた。大人はコーンフレークの牛乳のおいしさをわかっていない!

今ならわかる。私がわかってなかった。

 

いわゆるダシの美味しさは「うま味」という酸い甘い辛いとは別に独立した味わいだという。いまいちコレ!とハッキリ感じられる味わいでないだけにどんな味かの言語化が難しいが、しかし例えばだし汁を味見すると塩気や具材とかとは別の次元で「ア〜〜……うめぇ…」となるので確かに存在するとは思う。

 

ところで「うま味」というネーミングのなんと愛しいことよ。うまい味。英語でUMAMI。どうもヤバみとか良さみとかの系統な気がして最高、たまんないね、可愛い。

 

話をダシに戻す(!)と、昆布はつくづくダシとってて楽しい。パリッとしたでっかいやつを切って、お水にぽちゃん。お湯がグラグラ煮立ってお鍋の蓋をあけると良〜い香りの蒸気がフンワ〜と立ち上って中で昆布はペロン。もう美味しい。だしがらの昆布は殆ど取ってしまっていたが、昨日有元葉子さんの本を読んだら炊き込みご飯のときはその柔らかくなった昆布を刻んで混ぜこむとまた美味しいらしいのだ。くう。次はやる。

 

刻み昆布といえば、うちでは昔から昆布と油揚げと人参を細く刻んで甘じょっぱく煮る料理をよく作ってくれる。これがまた、美味しいのだ…この料理の昆布はいわゆるダシ用ではないが、しかしやはりダシ的な美味しさをいつも楽しんでいる。

 

しかし実はこの料理も昔はあまり好きではなかった。髪が綺麗になるらしいから、としぶしぶ食べてたくらい。今ならわかるがやっぱりわかってなかった。

 

というよりわかるようになった。ダシの美味しさを感じられるようになったのだ。ダシに限らず、パクチーもビールもツナもキノコもサンマの内臓とかも、子供の頃苦手だったが今は好物だ。ある意味では刺激への感覚が鈍っているのだとも思うが、しかしそれによって美味しさを感じる事物を後天的に得たのは事実。ハッピーである。これから先どんなものを美味しいと思うようになるかつくづく楽しみ。

 

秋の只中、冬の気配が見え隠れする。昆布ダシを楽しみながら風邪に気をつけて楽しくいきたい。

 

昆布ダシ、大好き。