たべもののはなし

食べることばかり考えてる

イナダの大きいやつを買った

昔から雨の休日に出かけざるをえない用事があると、せっかく天の神様におうちにいていいよと言われてたのに出かけたことがなんか勿体無くて帰りにスーパーに寄ったりする。

 

その日もたまたまそうだった。春の嵐のなか美術館に寄るのを諦めたおよそスーパー行くような感じじゃない服で、しかもいつもお買い物に行く大きいスーパーじゃない方に立ち寄ってみたのだった。

 

野菜→冷凍食品→麺とか納豆とか練り物のコーナー(あれなんて言うんだろう、大体どこのスーパーも近いところにある気がする)ときて、鮮魚コーナーにそれはいた。

 

ピッッッッッッカピカの、私の肘から指先までありそうな大きい青魚が、2尾、ごろん。

木目を模したスチロールの板にデカデカとマッキーで「イナダ 500円」。

こんな大きい魚が500円!?とたちまち嬉しくなってしまい、絶対にそれを買って帰ることにしたのだった。店員さんにお願いして捌いていただくあいだ、ワクワクは止まらず。

 

しかし本当に大きい。調べてみたらイナダは出世魚で鰤の2形態前の呼び名なのだそうだ。こんなに大きくてあと2回名前を変えるくらいデカくなれるなら鰤どんだけヤバいんだとシンプルに畏れた。ふだん大きい魚の姿を見ることはあまりなく、買いやすく整えていただいたものを手に取ることができていることを改めて感じた。

 

あっという間に切って包んでいただいたものをルンルンで持って帰った。頭もアラも入れてもらえて超ラッキー!雨なんてもうどうでもいい、イナダをすぐに冷蔵庫にしまいたい。

 

ところで、どうやって食べるのが美味しいんだろうと悩んだ。店頭には「刺身やバター焼きで!」という、北にも南にも進めるゾ!みたいなことが書いてあったけどどちらもピンと来ず。結局、半身は調べた中で一番美味しそうだった竜田揚げ、もう半身は冷凍して焼き魚、アラは煮付けにすることにした。

 

竜田揚げと煮付けは酒みりん砂糖醤油、ほとんど同じ味付けにニンニクと生姜だけが違うのがなんだか面白い。味が染みたら片栗粉でサッと揚げ、その間アルミの雪平鍋に落とし蓋でアラをコトコト。出来上がりはかたやカラリ、かたやホロリで同じ魚でもこんなに違う。お料理って不思議で良いものだなぁなどと思う。

 

すっかりお料理になった大きい魚。深くて大きいお皿にデン!と盛り付けて、おまつりだねぇと笑いながら白いご飯と共にパクパク食べてお腹いっぱいになった。脂が少なくてあっさりした身はどちらの食べ方でも本当に美味しくて、あっという間に平らげた。満面の笑みでごちそうさま。

 

また大きい魚を求めてあのスーパーに行こうと、決意みたいな祈りみたいな、どちらであってもふわふわに軽やかな気持ちで眠りについた。雨はすっかり止んで、良い土曜日の終わりになった。

 

イナダ、大好き。